同潤会アパート探訪記
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清砂通アパートメント

2002年3月探訪
所在地:東京都江東区三好・白河

青山アパートに続きこちらも2003年に相次いで取り壊されてしまいました。
2002年3月9日に約1年ぶりに出向いたところ、「建築計画のお知らせ」の看板が空家となった店の入口に立てられていました。1年前に来たときはほとんどの店が営業していて、すぐ取り壊される様子など全くなかっただけに驚きました。 建築計画によると、この場所に32階建ての高層住宅が平成14年9月着工、平成17年完成予定とのことです。
建物が1ヶ所に集中している他の現存同潤会アパートと異なり、三つ目通りを挟む形で数ヶ所に分散して建っています。三つ目通りと清洲橋通りの交差点に面した建物は角の階段室が円柱のような形をしていて中にらせん階段を 備えているのが特徴です。その非常にユニークなデザインから、昔はデパートと間違えて入る人も多かったそうです。
しかし、この建物は3月9日現在ほとんどの部屋が空家となっており、内装材の運び出しなど取り壊し準備も進められていました。他の棟にはまだ多くの入居者がいることから、この建物だけが真っ先に取り壊される可能性が高いと思っていたら、 案の定6月に他の建物より先に取り壊しになってしまいました。
また、アパートの一角にある元加賀公園には「昭和2年8月30日竣工」という碑が立っていて、この時期がアパート竣工時期とほぼ同じであることから、アパート建設に合わせて周辺一帯の再開発が行なわれたと思われます。
最寄り駅は都営新宿線菊川駅と大江戸線清澄白河駅、さらに近く半蔵門線も開業と、交通の便が極めてよいだけに再開発の対象となってしまうのは仕方ないのかもしれません。とはいえ、近代建築の礎や近代住宅における生活文化も築きあげた由緒ある建物が あっけなく取り壊されてしまうのは残念です。

現在、この場所には高層マンションと商業施設の複合ビルが建っていて、1階の角が旧清砂アパートの階段室を再現した円柱型となっていますが、この部分に現代的で派手な看板のドラッグストアが入居しているため、残念ながら往時の落ち着いた雰囲気はありません。



円柱型でドーム風屋根の階段室が特徴の清砂アパート1号館。残念ながら、2002年6月に取り壊されてしまいました。

1号館裏庭
桜がもうすぐ満開でした。この桜の木ももうありません。

この建物はきれいに塗装され、窓がアルミサッシとなっていることから、往時の面影は少ないです。中庭に柑橘系の果物が黄色い実をつけていました。

左右の建物はそれぞれ形が異なりますが、すべて清砂アパートです。それぞれがばらばらに改築されたようで、中には正面から見た限りでは原型を留めていないものもあります。
右端一番手前の建物は、ドラマ「太陽の季節」で主人公の津川(滝沢秀明)の家としてロケに使われた建物です。

階段の下が通路となって、通り抜けられるようになっています。階段の描くアーチがトンネルのように見えて面白いですが、これは限られた空間を有効に活用するための工夫だったのでしょうか。

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