東京の水辺でエコツアー 神田川・日本橋川コース
2009年10月12日


往路:勝どきマリーナ〜神田川経由〜新三崎橋
散歩オフ会にて神田川や日本橋川など都心の河川を巡るクルーズに参加してきました。 このクルーズはNPO法人「あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」 が主催するもので、勝どきマリーナを出航して隅田川→神田川→日本橋川と巡るコースでした。

エレクトリックボート「清流」
今回乗船したのは奥に停船している紺色の小型船「清流」。「エコツアー」なのにガソリンで動いて排ガスを出す船 では説得力がないとのことで、この船はなんとエレクトリックボート、つまり電気で動く船です。 今年はスバルや三菱が初めて一般ユーザー向けの電気自動車を発表したり、鉄道でもつい先日JR東日本から非電化路線も走れる 充電式電車の試作車が登場するなど、脱化石燃料・ゼロエミッション化が急速に進んだ年といえますが、船に関しても同様に ゼロエミッション化が進みつつあるようです。

勝どきの水門

東京タワーと汐留方面の高層ビル群

築地市場
勝どきマリーナを出航し浜前橋の水門を抜けて隅田川に出ると、正面に築地市場が見え、 その左には浜離宮と東京タワー及び汐留周辺のビル群が見えました。

勝鬨橋
水門を出てからは右折して上流のほうへと進み、勝鬨橋、佃大橋、中央大橋、永代橋、隅田川大橋、清洲橋と進んでいきます。 このあたりは水上バスの通り道でもあるため大型船の交通量が多く、他の船が通過するたびに波が押し寄せて大きく揺れ、 水しぶきも直接かかってくるので最初のうちは恐怖感もありましたが、時間がたつにつれ不思議と慣れてしまうものです。

佃島

小名木川
清洲橋を越えたところで右に曲がり、小名木川にて少し寄り道。小名木川は江東区を東西に横断して隅田川と荒川を結ぶ人工河川で、 江戸時代は下総方面で収穫した食料などを江戸に運ぶための重要な物流ルートだったそうです。高度成長期以降の地盤沈下に伴い 一時期は川自体が閉鎖されていたそうですが、2005年に荒川ロックゲートが完成し、再び船の通行が可能になったとのことです。
また、ここは松尾芭蕉ゆかりの地でもあり、旧居跡と銅像や松尾芭蕉に関する資料を集めた資料館もあります。ちなみに芭蕉資料館は、 台湾総統を務めた李登輝氏などの要人も訪れたことがあり、国際的にも有名らしいです。

水上交番
松尾芭蕉ゆかりの地を離れて再び隅田川に戻り、新大橋、両国橋を通過して、いよいよ船は神田川へと入りました。
神田川と隅田川の交差点には、川の交番「隅田川水上派出所」があります。いかにも交番といった造りですが、 道路に背を向けて川のほうに正面玄関があるのがユニークでした。もちろん待機しているのもパトカーではなく巡視艇です。

神田川の屋形船
神田川に入ってすぐのところは船宿があり屋形船が多数係留されていて、以前に夜の散歩中に見たラブホテルみたいなピンクの 電飾の船がいたり、木造の船がいたり、色々な船があってなかなか面白いです。
また、浅草橋〜秋葉原付近は高度成長期に川が汚染されて悪臭を放っていた時代の名残が随所に見られ、川に面した南側に窓がないビル、 川に面した玄関を塞いでしまった家などがいくつかありました。川の汚れが改善され、再び川が憩いの場に戻りつつある最近になって 建てられたビルは、逆に川に面した側の窓を大きくしたり、ウッドデッキなどのフリースペースを設けているのとは対照的といえ、 時代の変化とともに人間と河川の関わり方が変化してきたということがわかりました。

万世橋駅跡
また、万世橋付近など陸上から見慣れた光景も水上から見ると、なぜか違って見えるのが不思議です。

お茶の水分水路
万世橋の次は秋葉原地区の外れにある昌平橋を通過。陸上を歩いているときには全く気がつかなかったのですが、 ここに「お茶の水分水路」と書かれた謎の支流を発見。その正体は後程判明しましたが、非常に気になる存在だったのは言うまでもありません。
丸ノ内線
また、御茶ノ水駅というと、神田川を横切るときだけ地上に出る丸ノ内線など電車を上から眺めるというイメージですが、 水上からだとこんな具合に見え、普段見ているのと同じ風景も全く違って見えるのが印象的でした。

お茶の水分水路
丸ノ内線の横にも謎の扉がありました。これもお茶の水分水路とを結ぶ水路でしょうか。
聖橋

聖橋〜水道橋付近
御茶ノ水駅を過ぎたあたりは渓谷状になっていて人が近づかない場所だけに、岩場に蟹がいたり普段なかなか見ることができない 野鳥がいたりもして、都心とは思えない自然が広がっていました。

お茶の水分水路
そして水道橋の下に来ると、先程の「お茶の水分水路」が一時的に地上に顔を出して神田川に合流する地点がありました。 滝は流れていませんが上から蔦がぶら下がっていて、さながらディズニーランドのジャングルクルーズの雰囲気でした。
分水路は川幅を拡張できなかった代わりに並行して別ルートで人工河川を作ったという、いわば川のバイパスです。 分水路はこのまま地下を通って上流方向にも続いていて、船も通れる十分な広さがありますが、酸素がなくなる危険があるので、 中に入ることはできないそうです。
また、陸上から見ると川の水は植物プランクトンのせいで緑色に濁って見えますが、実際に採取してみると意外にも透明度が高く、 隅田川の水もこの辺の水もほとんど透明です。東京ドーム入口の後楽橋付近には鯉も多数いました。

新三崎橋の船着場
その後楽橋を過ぎると日本橋川との分岐点があり、左折して新三崎橋横の船着場にて途中下船し、昼の休憩となりました。

復路:新三崎橋〜日本橋川経由〜勝どきマリーナ
護岸の石垣
午後は日本橋川を下流に向けて進みます。ずっと首都高速の下で青空が見えなかったり、せっかくの美しい橋も高速道路の橋脚に 遮られたりしますが、ところどころに江戸城の外濠だった名残の石垣があったりもします。

常盤橋
日本橋川は江戸時代に水運で栄えたため多くの河岸があったとのことですが、治水事業で川が拡幅されたり、首都高の工事に伴って ほとんどがなくなってしまい、わずかに残るのみです。そして近現代に入ると、多くの支流も埋め立てられたりしてしまったとのことです。

龍閑川河口
そんなえた支流の一つが暗渠化された龍閑川。河口はこんな感じです。
日本橋川より千代田区と中央区の区界に沿って北東に向かい、東神田付近から直角に折れ、 浜町川を経て箱崎川、隅田川へと抜ける人工の堀で、「○○橋」という交差点名にその面影を残すのみです。その一つの「今川橋」は 今川焼き発祥の地とのことです。

江戸橋
その後は日本橋や江戸橋を通過し、亀島川との分岐点を右折し、日本橋水門と霊岸橋に立ち寄りました。

江戸橋ジャンクション下
神田川からの分岐点からずっと高速道路の下を流れてきた日本橋川も、この分岐付近でようやく青空の下に出ますが、 その後はわずか数百mで隅田川に合流して終わりです。

大川端リバーシティ
隅田川に出ると正面に大川端リバーシティが見えてきました。
行きはリバーシティの右を通りましたが帰りは左に進み、東京海洋大学のある越中島、晴海を経由して勝どきマリーナに帰ってきました。

大川端リバーシティ付近
乗船時間は約4時間でしたが、新発見の連続だっただけに退屈することなくあっという間に過ぎてしまった感じがします。 また、ツアー料金は決して安くはありませんが、普段なかなか船で通ることのできない 神田川や日本橋川を通ったり、水上バスなどのように商業的なクルーズでは決して聞くことのできない話を色々聞くことができ、 値段以上というか決して買えない価値のある体験ができたと思います。

●地図PDFファイルにて別ウィンドウで開きます。

今回のルートは、ざっとこんな感じです。赤線が往路、青線が復路となります。

関連サイト
NPO法人「あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」・・・このエコツアーの主催団体です。
MIXI「環境について、見て遊び学ぼう!」・・・MIXIのコミュニティ。

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